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集団訴訟の軌跡1冊に 薬害肝炎九州事務局長 古賀克重弁護士 手引き本出版


被害者に寄り添いながら、常に考えてきた。「被害の『回復』とは何なのか」‐。薬害エイズ訴訟やハンセン病違憲国賠訴訟にかかわり、薬害肝炎訴訟では九州弁護団事務局長を務める福岡市の古賀克重弁護士(42)が、国や企業に問題解決を迫る「集団訴訟」の手法をまとめた「集団訴訟実務マニュアル」を出版した。四大公害訴訟に始まる日本の過去半世紀にわたる闘いの軌跡を踏まえ、集団訴訟の歴史や理念を伝えている。

 ●「被害回復」問い続け16年 「新たな人生へ手助けを」
 司法修習時代の1993年、薬害エイズ東京訴訟の法廷を傍聴し、弁護団会議に参加したことが集団訴訟にかかわる出発点だった。解決に導こうとする弁護士の姿に力を感じた。しかし同時に「被害回復」ということに疑問を抱えもした。

 8歳年下の弟は、下肢に障害がある。ポリオ(小児まひ)の予防接種の副作用。「被害に遭わなかった人生」を取り戻すことなど不可能なのではないか‐。

 それでも「集団訴訟の力を信じてみたい」。そんな思いが、原動力の1つになった。

 ハンセン病訴訟の勝訴確定(2001年)で「これで人間になれる」と叫んだ原告の姿。薬害肝炎九州訴訟では、実名原告として闘った福田衣里子さん(28)が「命をつなぐ政治」を訴え、国会議員として新たな道を歩きだした。数々の訴訟を経て、一つの結論にたどり着いた。「被害回復とは、原告自身が被害を理解し、向き合い、あきらめるのではなく乗り越えて、新たな人生を歩んでいく過程だ」と。

 金銭的な補償を勝ち取ることが「乗り越える」手段になることもある。仲間のための活動に踏みだすこと、自分の病と向き合って治療を始めることも。「それぞれ形は違っても、前向きに変わっていくことに大きな意味がある。弁護士の役割は、原告が自らの足で歩みだすことに手を差しのべること」と振り返る。

 本書では、被害の掘り起こしに始まり、訴訟の進め方、支援活動のあり方、過去の集団訴訟の論点や概要などを詳述。古賀弁護士は「今後を担う若手弁護士や法律家を目指す人、支援者の踏み台となり、新たな軌跡を描いていく一助になれば」と話している。


Author : 西日本新聞    2009-10-05