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対象は「氷山の一角」残る課題 薬害肝炎救済法


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薬害肝炎救済法の成立によって、薬害C型肝炎訴訟は全面解決に向かうことになった。しかし、薬害肝炎問題の全体が解決するわけではない。また薬害以外の感染を含めた全肝炎患者からみると、救済法の対象となるのは「氷山の一角」だ。何が課題として残るのかを検証した。

 ■薬害患者は1万人
 救済法の対象となるのは、カルテや医師の投薬証明などによって汚染血液製剤の投与が証明できたC型肝炎患者に限られる。訴訟原告団約200人に加えて、今後新たに800人前後が“掘り起こし”によって救済対象になりそうだ。

 しかし、汚染製剤の出荷量から割り出した推計によると、薬害被害者は約1万人いるとみられている。本人が感染に気付かなかったり、投与証明ができない人は救済対象から外れる。

 東京都内の男性(73)は今年8月、妻をC型肝炎による肝がんで亡くした。妻が昭和40年代に福島県内の病院で帝王切開で二男を出産した際、血液製剤を投与されたことが原因と考えているが「病院に問い合わせても『古い話なのでわからない』といわれた」。男性は「30年経って初めて症状が出ることもある」と訴えている。

 どのような記録があれば、投与があったと認められるかという問題も残る。衆院厚生労働委員会は8日、「カルテ」や医師の「投薬証明」のほかにも、「手術記録」「投薬指示書」「看護師や薬剤師の証明」「本人や家族の記録や証言」を考慮するよう決議した。

 しかし、実際の認定は裁判所が行うことになっており、司法が今後、どのような認定基準をつくっていくかには不透明なところがある。

 ■B型肝炎患者
 「われわれは救済されない」。B型肝炎訴訟原告、木村伸一さん(43)は無念さを訴える。

 薬害ではないが、B型肝炎では「注射器を使い回した集団予防接種が感染原因」として国の責任を認め、1人あたり550万円の賠償を命じる最高裁判決が平成18年に出ている。しかし、国は謝罪もせず、同じような状況にある患者の救済も拒否してきた。


 木村さんは「救済法を盾に肝炎患者の全体的な救済をいわれるならば大きな間違い」と憤りを話す。B型肝炎訴訟原告団では年度内にも国のさらなる責任を求める訴訟を全国各地で起こす考えだ。すでに300人以上から問い合わせがあるという。

 ■治療助成の行方
 薬害以外の原因を含む全肝炎患者(B、C型)の対策のために、与党と民主党はそれぞれ、インターフェロン(IFN)治療費助成を柱とした肝炎対策法案を今国会に提出している。現在は自己負担が月8万円程度かかるINF治療費を大幅に助成しようという内容が骨格だ。すでに、来年度予算案に207億円が盛り込まれている。

 しかし、与党と民主党の間で助成額などの点で折り合いがつかず、今国会の成立は見送られた。
 さらに医療現場からは「B型肝炎にIFNは効果が薄い」という声がある上に、C型肝炎でも効果がない人が少なからず存在する。IFN以外の救済や助成をどうするかも課題として残る。

 ■厚労省の課題
 一連の肝炎問題の対応の中で信頼を失った厚労省が、今後やるべきことは多い。
 厚労省の地下倉庫に放置されていた「418人の血液製剤副作用リスト」問題をめぐっては、調査チームから、庁内の文書管理のあり方を見直し、副作用情報の有効活用について検討するよう求められている。418人の追跡調査もまだ終わっていない。418人のうち、個人名が判明した人の健康状態などを調べる調査票の発送もこれからだ。

 参院の厚労委員会からは、フィブリノゲンや第9因子製剤以外の血液製剤によって薬害が出ていないかの調査を求められている。

 さらに、原告と国が15日にも交わす予定の「基本合意書」では、薬害の再発防止を目的に、薬害肝炎問題の検証を第三者機関を設けて実施するように求められている。

 厚労省幹部は、「真摯(しんし)に反省し、薬害を2度と起こさないようにしなくてはいけない」と話している。


Author : 産経新聞    2008-01-11

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