発見されたやっと一○年のC型肝炎ウイルス
日本国内におけるC型肝炎ウイルスのキャリア(ういるす保有者)は、現在、中高年者を中心に二○○万~三○○万人と言われています(つまり、日本人の一○○人に二~三人はC型肝炎の感染者ということになります)。一方、B型肝炎ウイルスのキャリアはやはり二○○万人程度といわれていますから、キャリアの人数そのものは大差ありません。それなのになぜ、肝臓ガンとの因果関係でみると、C型肝炎ウイルスのほうがはるかに密接なつながりをもっているのでしょうか。
そもそも、C型肝炎ウイルスの感染経路が解明され、それに伴って診断や治療法が大きく進歩したのはつい最近、ここ一○年ほどのことです。
肝炎ウイルスのうちでも、A型とB型のウイルスの存在は以前から知られていましたが、それ以外のほとんど、肝臓病の約八割は原因不明で、非A非B型肝炎と呼ばれていました。
輸血後などに、B型肝炎とは違うタイプの肝炎が起きることはわかっていましたが、その原因がウイルスなのか、そしてウイルスだとすれば、一種類のものなのかどうか、診断できなかったのです。
これが全体の約八割だったわけですから、お酒を飲む患者はひとまずアルコール性の肝炎と診断され、「お酒を控えなさい。高タンパク食をとって、安静にしていなさい」といった生活指導はされるものの、専門的な治療法は手探りの状態でした。
その後、医療技術や遺伝子工学の進歩によって、八八年にようやくC型肝炎ウイルスが発見されました。これまで原因不明だった、多くの肝臓病の正体が明らかになったわけです。C型肝炎ウイルスは、感染経路としては血液を介するものの、感染カそのものは本来弱いものです。
たとえば、同じ食器を使う食事や入浴、衣服の共用など、日常生活での行為でウイルスがうつる恐れはまったくありません。にもかかわらず、これほどまで多くの患者が感染するに至っった背景は何か。全容はいまだ解明されていませんが、多くの専門家が指摘しているのは、C型肝炎ウイルスの存在が知られていない頃に行われていた、輸血や注射などの不適切な医療行為です。
「C型肝炎肝臓ガンの時代は終わった」より抜粋
2008-06-21